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証券取引所と日本証券業協会は、新規公開会社が公開前の一定期間に行う新株の発行や、経営者やその一族をはじめとする特別利害関係者が公開前の一定期間に行う株式移動などを、禁止または規制しているのです。
また、株式の譲渡による利益(キャピタルゲイン)については、平成元年四月一日以降は課税されることとなり、新株の発行価格や株式の譲渡価格についても、税法上の適切な時価によらない場合は課税される可能性があります。
それでは、最初に公開規則上の規制を説明し、次にキャピタルゲイン課税の概要を説明します。
具体的には、すでに発行されている会社の株式を他の人から安く買い集める(株式移動)か、あるいは会社から自分たちにだけ安い価格で新しい株式を発行してもらう(第三者割当増資)わけです。
したがって、証券取引所の規則は、前者の株式移動についての第三章と、後者の第三者割当増資とその変形である転換社債・新株引受権付社債についての第四章が中心となっています。
一方、新規公開会社自身が有利になるような対策に対しては、それほど規制されていません。
これは、新規公開会社が自己と特別な利害関係のない第三者と取引をし、結果的に自己が有利となったとしても、特別利害関係者ほど強く規制する必要がないからです。
株式移動の規制期間については上場も店頭登録も変わりませんが、新株発行等の禁止期間は、店頭登録の方が六ヵ月短くなり、その分か制限期間となっています。
これは、比較的短い期間で公開が可能であるという、店頭登録の特性を考慮したものです。
禁止期間とは、相手が誰であろうと絶対禁止という意味です。
また制限期間とか規制期間とは、一定の要件を満たす適正なもののみ認めるという意味です。
したがって、特別利害関係者と第三者との取引は、利得行為となる可能性が高いため原則禁止となります。
半面、第三者からの利得行為に該当しないこと、例えば特別利害関係者とその親族間の売買や贈与は、規制の対象とはなりません。
また、上場、店頭登録のいずれの場合も、規制の対象となる期間は、直前々期の期首日(直前期末日より二年前)以降であり、それ以前については、何ら規制されていない、いわゆる「フリー期間」となっています。
役員(役員持株会を含む)、その配偶者および二親等内の血族を「役員等」といいますが、この「役員等」と「役員等」により発行済株式総数の過半数が所有されている会社ならびに関係会社およびその役員を、「特別利害関係者」といいます。
さらに、「特別利害関係者」と、大株主上位10名、人的および資本的関係会社ならびにこれらの役員、証券会社ならびにその役員・人的および資本的関係会社を、「特別利害関係者等」といいます。
がって、これら公開規則上の規制は一見強い規制のように見えますが、実際には早い時期から計画的な資本政策を推進していきさえすれば、それほど大きな障害とはなりません。
さらに平成十一年中には、店頭登録前の新株発行等に対する禁止や規制が大幅に緩和される予定です。
したがって、資本政策の効果を実現するうえでの最大の課題は、公開規則上の規制よりもフリー期間に特別利害関係者等に行われる資本政策において、税法上の適正な時価と認められる範囲内で、いかに有利な価格で新株の発行や株式の譲渡を行えるかにあるといってもよいでしょう。
有価証券の譲渡によるキャピタルゲインについては、昭和二十八年以降、長らく原則非課税とされていましたが、平成元年四月以降は原則課税となりました。
課税の対象となる有価証券としては、通常の株式のほか、新株引受権、転換社債、新株引受権付社債、有限会社などの社員持分(「株式等」)も含められます。
この「株式等」の譲渡により発生する利益は、すべて課税されることとなったわけです。
この課税のための方式には、一般に「申告分離」と呼ばれる方式と、「源泉分離」と呼ばれる方式の二つがあります。
ただし、新しい有価証券税制は「申告分離」を原則とし、「源泉分離」は一定の要件が満たされたときに納税者が選択できる特例というスタンスをとっています。
それでは、まず申告分離課税の制度について、次に源泉分離課税の制度について、最後に新規公開株式に対する特例について、その内容を見ることにしましょう。
「株式等」の譲渡によって、その一年間(暦年ペース)に発生した利益と損失とを通算した所得(「株式等に係る譲渡所得等の金額しに対し、所得税20%と地方税6%の合計26%が、他の所得と分離されて一律に課税される制度です。
また、一年間の「株式等」の取引の純額が結局赤字で終わっても、給与や配当金といった他の所得から差し引くことはできませんし、翌年に損失を繰り越すことも認められません。
この取り扱いは、公開株であろうと未公開株であろうと同じです。
具体的には、最初に証券取引所に上場された日、あるいは最初に店頭登録された日(「上場等の日しにおける所有期間が三年を超える「株式等」を、以後一年以内に証券業者を通して売却した場合には、譲渡所得が二分の一に軽減されるというものです。
したがって、公開時の「売出し株」や「値付株」に対する実質的な課税は、その譲渡公開日26%の申告分離課税26%の申告分離課税申告分離益の13%となるわけです。
なお「上場等の日」以後一年を超えてから売却する場合は、の源泉分離課税を選択することができます。
したがって、店頭登録経由の上場の場合の「売出し株」や「値付株」に対する課税は、の源泉分離課税を選択することができ、直接上場の場合に比べ有利となります。
ただし、平成十三年三月末には源泉分離課税制度が廃止され、申告分離課税制度に一本化される予定となっているので、それ以降は税率のアンバランスは解消されることとなります。
それでは以降で、各種の資本政策の実務のあらましを見ていくことにしましょう。
株式を公開しようとする未公開会社には、個人が創業し発展させた会社(オーナー系企業)と、大会社が設立し発展した会社(大企業系列企業)とがありますが、創業者利潤対策は特にオーナー系企業において重要になるものです。
対策の目的は、オーナーをはじめとする特別利害関係者の持株数および持株比率を増加させ、公開時以降の持株売却や保有によるキャピタルゲインをより多く確保することにあります。
このための具体的な方法としては、分離型の新株引受権(ワラント)付社債の発行が多く行われています。
また、持株会社などの法人に対しては転換社債の発行も行われます。
過去においては第三者割当増資も多く行われていたのですが、なぜ現在ではこのようになったのでしょうか。
特別利害関係者が会社の新株を取得するためには、その対価として多額のお金を払い込まなければなりません。
株式の公開の実務においては、この対価は億円単位になることが多いのですが、これだけ多額の現金を用意できる人はまれです。
したがって銀行から借金をし、借入金の利息を払わなくてはなりません。
例えば、オーナーが新株の発行を受けるために銀行から三億円を借り入れ、会社に払い込んだとします。
業績が順調で予定どおり株式を公開できればよいのですが、仮に将来の業績悪化によって株式公開が難しくなったときには、返済の難しい三億円もの個人借入金が残ってしまうことになります。
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